巨大プラント「アダックス(※)」は、自分たちがイニシアチブをとれる市場の開拓をめざしていた。彼らは見捨てられた星である火星に目をつけていたが、ここには一つ重大な問題があった。マーズクリスタルがVRに搭載されたVコンバータの活性を阻害するため、既成の第二世代型VRでは十分なパフォーマンスが得られなかったのである。そこで彼らはクリスタルの影響下にあっても支障無く稼働する新型VRを開発する必要性に迫られた。VOXと呼ばれる一連の機体群は、いわゆる第三世代型として実用化された最初のグループである。同プラントが手がけた第二世代型VR「ボック」シリーズのコンセプトを継承するユニット・スケルトンシステム(USS)を採用し、フレキシビリティの高さは他機種と一線を画する。この構造上の利点をいかし、第三世代型中最多の派生型を生み出した。

※:第三プラントはVCa6年以降、
自らの名称をそれまでの「ムーニー・バレー」から「アダックス」へと変更した。